20 février 2018

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かつて骨董にハマったきっかけは古伊万里でした。
学生時代にかなり入れ込んでいたのですが
如何せん学生ですから買うことは叶わず、
専ら見るのが専門でした。

あの頃の憧れは初期伊万里。
磁器とも思えない生がけのぽってりしたフォルム。
蕎麦猪口1つでいいから欲しいと思ったものです。

30〜40代には、稼いだお金のかなりをつぎ込み
実際に使えるような器をコレクションしました。
蕎麦猪口もいくつか手に入れました。
古伊万里の中でも、私は染付けが好きなんです。
華やかな色絵は日常使いがしにくい。

磁器って陶器と違って経年変化が少ないので
ものによっては現代ものと見間違うほどですが、
似て非なるもの。
私は古伊万里の子孫の有田焼きには
全く食指が動きません。

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散々集めた挙げ句に
気軽に使えるものだけ残して売ってしまったのは
古伊万里のことが十分にわかったからです。
私は知識欲で集める癖があるので
わかったと思うと執着がなくなるのね。

でも好きだから使いたい。
で、江戸時代のものは殆ど売って
気軽に使える明治の印判をメインに残したのです。
明治の印判といっても既に
150年近く経っているのですから立派な骨董よね。

江戸時代の天然の呉須の色は魅力的ですが
明治の印判のコバルトブルーもまた魅力的。
鮮やかな藍は野菜の赤や緑と相性がいいし
肉や魚の地味な色にも合うのです。

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上の八角鉢は手前が江戸後期、奥は幕末のもので
ざっと200年以上は経っていますが
今窯から出したばかりのようにきれいです。
絵付けも面白いの。

手前の鉢は外側の全面に七宝模様が施されていて
見込みには可愛いネズミが1匹描かれています。
古伊万里の幾何学模様はきっちり描かれていても
まったく神経質な感じがしないんです。
どこか大らかなの。

奥の鉢は抽象化された雲と龍が描いてあります。
一見すると何の絵かわからないのが面白いところ。
磁器なのに温かい感じがするのは
その時代の空気なのだと思います。

骨董の魅力は、長い年月を無事に生き延びて
今ここに存在することにあります。
大事に扱われてここまで来たのだと思うと
それだけで愛しい気持になってしまうのです。



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