21 mars 2017



この人から学びたい
と思う師に出会えるのは幸せなことです。
出会ったことで人生観が変わります。

私の場合は墨絵の先生と
書を教わっていた伯母の2人。

直接教わったのは墨絵や書ですが、 
一緒に過ごす時間の中で自然と伝わる
生き方や美意識、哲学が
私の生き方、考え方にも影響しています。

2人とも大正生まれですから
激動の時代を生きてきたわけです。
受けた教育も今とは全然違って質がいい。
教育的には実に素晴らしい時代です。
 
墨絵の先生は、お父様の仕事の関係で
赴任先のハルピンで生まれ
5歳くらいまでそこで育ちました。

ロシア人を招いて開かれるパーティーや
オルゴールに合わせて踊るダンス、
それを階段に座って眺めていた幼い先生の話など
まるでおとぎ話のようだったなぁ。

30そこそこで未亡人になり
4人の子供を1人で育て上げたのですが、
時には大胆な決断をし、
大変な時代も芸術に情熱を傾け、
常に美しくあることを忘れなかった人です。

先生は本当に美意識の高い方でした。
そして最後まで女性だった。

92歳まで教えてくださいましたが
紫に染めたきれいな白髪をいつもきちんとセットし
よく似合うセンスの良い服と
素敵なアクセサリーを身に着けて
私たちを迎えてくださいました。
真っ赤な口紅が似合っていたなぁ。

書の先生だった伯母も美しい人でしたし
書も墨絵も天才的な才能を持っていましたが
それより何より深い教養を持つ人でした。

私はあんなに教養のある人を他に知りません。
そして、あんなに美しい日本語を話す人も
他に知りません。

伯母とは生まれた時からのお付き合いですから
影響力は大きいです。
知らず知らずのうちに教わったことも多い。
文学や古典や哲学だけではなく
ものの考え方や生き方も。

それが全部自分に当てはまるものではないけど、
伯母の教養に少しでも近づきたいし
あんな風に美しい日本語を話せる人になりたい。
でも、全然追いついていないな…
 
墨絵の先生は外向きでぱっと華やかな人、
伯母は静かな存在感のある人。
タイプの違う2人はまた仲良しでもありました。

師に学ぶことは
素敵な人になるための近道です。

2人の師はいつも私のお手本なのです。


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